作家片岡義男さんのエッセイに、アメリカの西海岸に何十年もかかってたどりついた漁業用浮き球の話があります。浮き球の長い旅のロマンは、アメリカの若者をとりこにしました。そこにしるされたメーカー名が、わが「北洋ガラス」。
津軽の西海岸、七里長浜からすくいあげた砂で、古式の製法にのっとって実験をしていたスタッフの一人が、名状しがたいガラス製品を生み出しました。
今迄一度も見たことのない、いわくいいがたい色彩。フランス語だと、たしかヴァレック(Varech)と呼ぶ、海岸にある緑褐色の海草の色です。
「ガラス」と呼ぶより、あえて、「びいどろ」と呼びたい素朴なマチエルと光は、七里長浜の四季の潮風を秘めた、津軽のロマンがそこはかとなく感じられます。
≪津軽びいどろ≫は、「北洋ガラス」の新製品というよりは、むしろガラスの原点そのものだと私どもは信じております。